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「でもさ、音楽祭にバンドで出ていいの?」
市の音楽祭と言われ思い浮かぶのは、市内の学校の吹奏楽の人たちの発表会。堅苦しいイメージがある。
「今年はバンド出場募ってるのよ。10周年がどうのこうので」
「チェックしてるねえ」
「当たり前でしょ。メダルが欲しくてしっかりポスター読んだわよ」
ふんっと髪をかきあげるエナちゃん。どこか誇らしげに見えるのは気のせいかな? やっぱり、可愛い子だ。
「そんなに欲しいんだ、メダル」
「エナには1番が似合うでしょ?」
「似合う似合う」
うんうん頷くと、かやの外だったトムがやっと口を開く。
「そんな簡単に優勝は」
「ショウくんとエナの手にかかれば楽勝よ! ついでにぷこもね」
「バンドなら、ドラムが」
「さあ、早く曲決めよう」
エナちゃんは改めて楽譜を見る。トムの話をよく無視するけど、エナちゃんは本当にトムが好きなのかな? 少し疑問に思った。
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