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「ぷこは名前が、風子(ふうこ)だから」
「そうなんですかー。エナはショウくんって呼んでいいですかあ?」
私の名前は華麗にスルーして、エナちゃんがトムににじり寄る。トムは私の後ろに隠れて、こそっと耳打ちした。
「遅刻する」
「ああ! 急がなきゃね!」
私が突然に大声を出したので、エナちゃんはびっくりして声をあげた。
「きゃ、驚かさないでよ」
私はトムと学校に向けて走り出す。エナちゃんは少しうろたえ、すぐに追いかけて来た。
「置いて行くなんてひどーい」
「遅刻しちゃうんだよー! 今日は集会だから」
走りながら言うと、タラタラ走っていたエナちゃんの足が急に速まる。
「早く言いなさいよ」
3人で正門をくぐったときには、すでに遅刻だった。
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