track 1

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 鳴り響くチャイムの音を聞きながら、息を整える。 「あんたのせいで遅刻したじゃない」 「ごめん」  あの瞬間に止まっていれば、エナちゃんとぶつかることは無かった。ぶつからなければ、遅刻することも無かっただろう。 「じゃ、私保健室行くから」  トムに片手をあげ、別れを告げる。トムはわかったと頷いた。さて、とエナちゃんを振り返る。 「何よ」 「さ、行くよ」  エナちゃんのカバンを奪い取り、保健室へと歩き出す。 「泥棒! カバン返しなさいよ!」  持っているカバンをぐいぐいと引っ張るエナちゃん。 「無理しないの。痛いんでしょ、手」  ぶつかったときに、手のひらを擦っていた。カバンを持つことも、少しつらかったに違いない。 「デブのくせに」 「私のチャームポイントだからね!」  はっはっはと豪快に笑うと、エナちゃんはぶうたれた表情になる。 「あんたのせいだからね」 「わかっているとも! 責任を持って消毒するよ」 「あんたに触られたくないわ! デブが移る!」 「エナちゃん細いから、移ったくらいがちょうどいいんじゃない?」 「……ふんっ」
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