15人が本棚に入れています
本棚に追加
「う、嘘だ」
夕食の買い物を終え、玄関先に突っ立ったまま、真っ青な顔でそう叫んでいるのは16歳の山崎翔(ヤマサキカケル)。
身長は156センチと小柄で、ヨレヨレになったTシャツと、ボロボロのジーンズを身につけている。
「おぉ、帰ってきたか」
ガハハと笑いながら声をかけてきたのは、翔の父親である山崎満(ヤマサキミツル)。
満は翔の頭2つぶん背が高く、顔には無精髭が生えていてワイルドな出で立ちをしている。
「おい、親父!これってどういう事だよ!」
翔はドアに貼ってある差し押さえと書かれた紙を指さして怒鳴る。
「ごめんなぁ。翔。パパ、またやっちゃた」
顔は良いが性格は、かなりだらしない。
「な…、俺がどれだけ働いて借金を返してると思っているんだ!どうせ、またパチンコだろ!」
「ああ。今日はツイテると思ったんだがなぁ」
開いた口がふさがらないとはこういう事だと思う翔。
「あれだけ賭事はするなって言ったのに…あり得ねー。」
こめかみを揉みながら息を吐く。
40歳ちかくなる満のだらしなさには、翔も前々から振り回されてきた。
最初のコメントを投稿しよう!