8人が本棚に入れています
本棚に追加
ただ、この制服では少しばかり暑かった。グレイスは帽子を取り、正面に輝く星を見つめる。意味も価値もない証。俺が、ここにいるという証。
後ろにそびえ立つ警察署を見上げ、彼は俯いた。
証、そしてその場所。
先祖の敷いたレール通りに。
進む自分。
嫌じゃない、別にこのままでいいと思う。
生も死も必要ないこの人生の味は、しょっぱくて甘い。
帽子を被り直し真正面に合わせたグレイスは、ゆっくりと警察署を出ていった。
最初のコメントを投稿しよう!