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「山南さん、総司です。」 沖田は声を掛けると同時に襖を開けた。 「沖田君? どうしたんだい?」 山南はいきなりの入室に多少驚いたが、優しい笑みで沖田に問い掛けた。 「小百合さんの事……いや、自分の事と言うか…。」 やっぱりかと思いながら、弟の様な存在の沖田が人を愛する気持ちを知ったのかと思うと嬉しくなってくる。 「気になるのかい?」 「はい…。 同情かと思ったんですが、小百合さんの笑顔を見てると心が安らぐんです。 こんな気持ちになった事無くて…。」 山南は分かっていない沖田に、呆れにも似た感情を抱くが、人を愛する事が出来た沖田の力になろうと誓った。 「それは恋じゃないのかな?」 「はっ?!」 すっとんきょうな顔をして聞き返す。 「小百合君の笑顔が見たいだろう? それを自分だけに向けられたいだろう?」 「………はい。」 「沖田君は小百合君に恋をしているんだね。」 沖田は弟を見る様な優しい笑みで見つめる山南をじっと見た。
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