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「ここが近藤さんの部屋だ。」
「ありがとうございます。
あの…お名前を聞いてもいいでしょうか?」
「あぁ、斎藤一だ。」
そのまま斎藤は元来た道に戻る。
近藤の部屋に向かっている間も殆ど会話はなかった。
手は繋いだままだったが…。
「近藤さん。小百合です。
お呼びですか?」
「あぁ、入りなさい。」
襖を開け近藤の前に座る。
「迷わず来れたかい?」
「それが迷ってしまって、斎藤さんに案内して頂きました。」
「ほぅ…。斎藤君がねぇ…。
して、その首の傷は?」
小百合は苦笑しながらも正直に答える。
「これも斎藤さんに…。」
「何っ!?大丈夫かね?!」
間髪入れず返してくる近藤の気持ちが嬉しくて胸が温かくなる。
「大丈夫です!」
「ならいいが…。」
「何か、ご用があるのではないのですか?」
「あぁ!そうだった!
今日は疲れているだろうし、女中の仕事は明日から頼もうと思う。
分からない事があれば側に居る者に聞いてくれればいい。
それで、今日の夕食の時に皆に紹介しようと思っているのだが、どこまで隊士達に伝えればいいものかと思ってなぁ…。」
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