十二支

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未&酉 「酉井くん…」 「…すぅ」 「…寝ちゃった」 あの木の下で、僕の膝の上に頭を乗せて気持ち良さそうに寝ている酉井くんに笑みを零してその髪を指に絡める 平穏な日々、幸せな時間 卯宮くんと巳河くんも最近学校に来てないらしく、久しぶりの安寧に心と体を休ませていた ――俺、はお前を守りたい。傍にいてやりたい この言葉は僕の宝物 酉井くんが僕を見つけてくれた時に僕にくれた大切なもの それを思い出すといつも心が暖かくなる 「酉井、くん」 頬に手を添えれば、伝わってくる酉井くんの体温 あれから酉井くんは、暇があれば僕と一緒にいてくれている 一緒にいると、凄く凄く安心する… この気持ちは何と言うんだろう ずっと、ずっと一緒にいたい ずっとずっと離れたくない ずっとずっと、こうやって酉井くんに触れていたい―― そう思うと胸が何かを求めるようにきゅっと痛くなった いつかはこの幸せも僕から去っていくのかもしれない 今、こんなに幸せでいいのだろうか、と… 「………泣くなよ」 「え…、」 声に目を開ければ、心配そうに眉を顰めた酉井くんが僕に手を伸ばしているところだった その指は僕の目尻に触れて… きらりと光るそれに、僕はやっと自分が涙を流していることに気付いた 「泣くな…」 「うん、ごめん…」 ふわっと笑ってみせると、手に重ねられる酉井くんの大きくて温かい手 「どうして…」 …泣いてた? 「……うん、その、ね。酉井くんがいてくれて、…幸せすぎてどうしていいか、わからなくて…」 「……」 なでなで 優しく頭を撫でられる感触にまた涙が溢れる あぁ、どうしてこの人は――… 「ずっと、ずっと。未来が寂しくないように。ずっと一緒にいてやるから」 「うん、うん…っ」 澄み切った空、 暖かな日、 優しい眼差し… 「酉井くん、あの…、ね。僕、」 幸せな日々 平穏はこの先も、ずっと―― .
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