十二支

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卯←←←巳 「卯宮もさぁ、未来ちゃんのこと好きならあんなことしなきゃいいのに」 「うるせぇ、誰が誰のこと好きって?はっ、笑わせんな!ムカつくんだよ。あんなことされてんのに何も言わねぇあいつが!」 ドガッ 「こらこら、物にあたらなーい」 「黙れ、蛇が!」 「ひっどいなぁ~」 くすくす 周りの生徒たちも卯宮の機嫌の悪さに誰も近寄ろうとはしない 馬鹿だよねぇ こーいう時の卯宮の方が素直で扱いやすいのに 「ねぇねぇ、卯宮」 「なんだ、蛇」 「卯宮がさぁ未来ちゃんいらないってんなら、俺がもらってもい?」 「……は?」 あ、固まった 本心モロバレ 腹立つなー 「俺、あーいう子鳴かせるの好きなんだよねー。絶対可愛い声で鳴くと思うんだぁ」 「………勝手にしろ」 「はぁい」 俺に向けている背中が更に不機嫌になるのを見て、俺も笑みを消して冷ややかに外を眺める 木の下で寄り添う二人、羊と鳥 ねぇ、卯宮 俺に未来ちゃん盗られるって思ったら、ムカついたんでしょ? それってさぁ、やっぱり未来ちゃんのこと ――好きってことなんだよ? ムカつく、ムカつく、ムカつく 兎の気になるものは全て消えてしまえばいい 全部消えて、オレさえ隣にいればいい オレだけをその目に映していればいい 「巳河、行くぞ」 「うん」 そして、オレだけを求めて オレだけに縋り付けばいいのに―― .
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