242人が本棚に入れています
本棚に追加
卯←←←巳
「卯宮もさぁ、未来ちゃんのこと好きならあんなことしなきゃいいのに」
「うるせぇ、誰が誰のこと好きって?はっ、笑わせんな!ムカつくんだよ。あんなことされてんのに何も言わねぇあいつが!」
ドガッ
「こらこら、物にあたらなーい」
「黙れ、蛇が!」
「ひっどいなぁ~」
くすくす
周りの生徒たちも卯宮の機嫌の悪さに誰も近寄ろうとはしない
馬鹿だよねぇ
こーいう時の卯宮の方が素直で扱いやすいのに
「ねぇねぇ、卯宮」
「なんだ、蛇」
「卯宮がさぁ未来ちゃんいらないってんなら、俺がもらってもい?」
「……は?」
あ、固まった
本心モロバレ
腹立つなー
「俺、あーいう子鳴かせるの好きなんだよねー。絶対可愛い声で鳴くと思うんだぁ」
「………勝手にしろ」
「はぁい」
俺に向けている背中が更に不機嫌になるのを見て、俺も笑みを消して冷ややかに外を眺める
木の下で寄り添う二人、羊と鳥
ねぇ、卯宮
俺に未来ちゃん盗られるって思ったら、ムカついたんでしょ?
それってさぁ、やっぱり未来ちゃんのこと
――好きってことなんだよ?
ムカつく、ムカつく、ムカつく
兎の気になるものは全て消えてしまえばいい
全部消えて、オレさえ隣にいればいい
オレだけをその目に映していればいい
「巳河、行くぞ」
「うん」
そして、オレだけを求めて
オレだけに縋り付けばいいのに――
.
最初のコメントを投稿しよう!