赤い靴のお姫様

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パーティー当日、今回は幸介の社長就任式もあり、約300人もの人たちが集まった。芽衣は白く輝くロングスカートでベアトップのドレスを着て会場にいた。柏木さんが娘に高級な焼肉をごちそうし、最近買ったばかりのドレスを芽衣のために借りてくれたのだった。今回は靴もドレスに合わせた白のハイヒールの靴を借りており、髪型とメイクは柏木が前回と同じようにしてくれていた。しかし、履きなれないハイヒールのせいで、芽衣は何度も転びそうになり、その度に周りをヒヤヒヤさせた。  挨拶が終わり、乾杯と同時にパーティーが始まった。まだ会場には社長の姿も幸介の姿もなかった。芽衣はまたご馳走をお腹いっぱい食べようとしていたが、借りた白いドレスを汚すことはできないし、何より慣れないロングスカートとハイヒールに足元をとられうまく歩けずにいた。 それからしばらく経ち、様々なプログラムが消化されていった頃、 「あら、ドレスの似合わない人がいると思ったら古谷じゃない」 と、亜莉沙が芽衣のもとへ寄ってきた。 「あんたヒールとか履けるの?転んで料理を台無しにしないでちょうだいね。ふふ」 「はい、大丈夫です。あんまり歩かないようにしてるんで」 「あなた今度は何しに来たの?また前みたいに恥かきに来たの?」 「いえ、今回は社長に呼ばれて」 「社長に!?あんたが!?なんで!?」 亜莉沙は急に焦り出した。 「私も知らないんですけど・・・」 「どうせなんか悪いことでもやらかしたんでしょ。」 「さぁ・・・レイラさんから間接的に招待状渡されただけですから・・」 「そうなのレイラ?ってか、いつの間にそんなことあったのよ。何で私に言わないの?」 「亜莉沙は課長のことしか興味無いのかと思って」 「何よあんたまで!あ、それより古谷、1階の受付に行って今日のプログラムもらってきて」 「私が・・・?」 「当り前じゃない。なんか用意してた分が足りなくなっちゃったみたいで、私持ってきてって頼まれてたからちょうど良かった、大至急行ってきて」 「はぁい・・・」
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