赤い靴のお姫様

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そう言うと芽衣は下を向き、隠して涙を拭うと、履いていた憧れのハイヒールをその場に脱ぎ捨て、会場を裸足で飛び出して行った。会場の空気はそのまま凍りつき、幸介はただその場に立ち尽くしているだけだった。 会場の時間はそのまましばらく止まったままだった。そこへ、芽衣の言葉にいてもたってもいられなくなった亜莉沙とレイラが近寄ってきた。 「何やってるんですか!北村さん!あいつ行っちゃいますよ!」 「早く追いかけて下さい!」 「え・・・?」 幸介は脱ぎ捨てられた靴を見て想いがこみ上がり、芽衣を追いかけようとする。 「待って北村さん!」 レイラがステージにあった芽衣の赤い靴を北村に投げて渡した。 「あいつには、それが必要です」 幸介はその赤い靴を持ち、芽衣を追いかけた。
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