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芽衣は会場を出たすぐ近く、夜の静かな川沿いの公園に独り裸足のままうずくまって泣いていた。鳴き声は誰もいない夜の公園を悲しく包み込んだ。
「芽衣!!」
その時、後ろから幸介の声が聞こえた。芽衣は慌てて涙を拭い、知らないふりをした。
「君はおとぎ話のわき役かもしれない・・・」
「でも、君は僕の人生のヒロインだ」
芽衣はその言葉に嬉しくなり、また涙を流す。
「さあ、パーティーに行きましょう。僕が君に魔法をかけて素敵なお姫様にするから」
芽衣がそっと後ろを振り返ると、そこには芽衣の古びた赤い靴が置かれてあった。
「この靴が、あなたを一番輝かせる魔法の靴です」
芽衣はボロボロの涙を流しながらも笑顔になった。
「この靴を履いたあなたはもう、お姫さまだ」
芽衣は裸足のまま幸介のもとへとかけ寄り、思いきり抱きついた。幸介はそれを強く受け止めた。
芽衣はクスっと笑ってしまう。
「なに?」
幸介が照れながら聞く。
「だって・・・」
芽衣はついに笑いをこらえきれず、思いきり笑ってしまう。
「なんだよ」
「だって、幸介のセリフ・・・、魔法をかけるのは王子様じゃなくて魔法使いよ」
「あ・・・」
「ホントの王子様はお城で待ってるんだから」
2人は笑った。
世界一美しい靴を履いたお姫様は今までで一番美しく輝いた。
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