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~2~
悠さんの肌のように白い薔薇を、悠さんの心のように燃える薔薇を、俺は彼女に差し出した。
仕事はまじめにやる俺が、無理やりにでも半日のオフをもぎ取ったのは、長い付き合いである事務所の社長も驚いていた。
昔の俺なら、女と会うためだけに、仕事を休むなんてバカみたいだと思っていただろう。
でも、今の俺は、彼女の隣に立つためなら、できることはやっておきたい恋の虜であった。
で、その半日は、彼女へのプレゼントを買いに行った。
女がほしいもの、あげたら喜ぶものなんて、マニュアル本を出せるぐらい心得ていたはずなのに。
実際、好きな人のためにかうときは、そんな知識頭から抜けていた。
ショッピングモールを延々と歩いても決まらず、結局、このレストランの近くの花屋で売っていた、バラの花を、店の中にあったやつ全部買い占めた。
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