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女子更衣室でたわいのない会話を交わし、友人と一緒にF組に向かう。
あまいろの丈を詰めたスカートを揺らし、赤いネクタイをキッチリと締めた。
暑い、暑いと手をうちわかわりにして階段を上がった先を右折すると、そこにはハルカが壁に寄りかかって待っていた。
銀色の髪はさらさらとしていて、こちらに気付いた彼はにっこりと微笑んだ。
「お疲れ様。皆にジュースの差し入れだよ。」
右手を胸元辺りまであげるとビニールに入ったペットボトルが見えた。
どうやらグレープジュースのよう。
「わ~!ハルカ気が利くじゃーん!」
喜ぶセンパイは目の色を変えて教室の中に入り、ユッコはハルカの腕を掴んで強引に教室へ引っ張って行く。
彼は困ったようにこちらを見つめた。
青い瞳は私に問掛けるのだ。「スイナも早くおいでよ」‥と。
彼はハーフなんだって。
どこの国かは聞いていない。
でも、見たことのない銀髪に目を丸くしたのは、言うまでもない。
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