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所変わって、駅前からちょい離れた所にある、小洒落た小さめの服屋。
ただ今、服を試着中の西沢を、俺は試着室前で待っている。
「高志君、さっきの子、彼女なの?」
突如、声がかけられた。この店の店長だ。
はい、そこの君、この人のこと、気のいいおばさんだとか思っただろ。
ブッブー、ハッズレー!
……我ながらうざいな。実は彼女、もとい彼はオカマである。いや、正式には、単にオネエ言葉の使い手と言うべきだろうか。一応男自称してるし。
ちなみに、本人にも、変だという自覚有りだ。なんか、昔からの癖らしい。
「いえ、そんなんじゃないですよ。もともと間違い電話から始まった関係だし、ここに来たのもたまたま街案内頼まれただけです」
「あら、そうなの? 遠距離に始まる恋、素敵ねぇ……」
……とんだ勘違いだ。なんか妄想初めてるみたいだし。表情もほとんど顔に出ていないため、かなり不気味な絵面である。
と、このタイミングで、試着室のカーテンが勢いよく開けられた。
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