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「私、そっちの街に引っ越す事になったの。案内、頼める?」
「……は?」
一学期も終わりに近付き、すっかり夏休み的ハイな気分になっていた俺に、そんな事を電話で、唐突に言ってのけるちょい待てや的ガールがいた。
彼女の名は西沢 茜(ニシザワ アカネ)。お互い、まだ会ったことないという、今時の危ない(詳細不明的な意味だぞ)関係にある。
「集合場所とか日時は分かったら教えるわ。じゃあね、たかしん」
「おい、俺はまだ……」
…………切りやがった。
今になってわかった話ではないが、この西沢茜、俺の意見など聞いちゃくれない。俺が言いたいのが、反対意見みたいなのだと分かっているからだろうか。
それに、ちゃんとした面識もないのに、たかしんとはいかがなものだろうか?
フレンドリーなのは結構な事だが、東野(ヒガシノ)君とか、せめて高志(タカシ)君と、一線引いてほしいものだ。
なんで西沢と知り合ったのか、その理由は簡単。単なるあっちの間違い電話だ。
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