え? 待て待て待て

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 五分ほど自転車をとばし、場所は駅前。まあ駅前といったところで、ここは都会とはいえず、むしろ田舎に近い寂れた街だ。電車も次は二十分後。人の出入りもはっきり言って少ない。  ただ今俺の視界に見えるのは、はげたおっさん二人に、なんかベンチに美人な子が一人座ってる。んで、じいさんばあさん、他諸々。五十人くらいいればたいしたものだろう。  ……なんで人数なんてあげてんだ、俺。  ともかく、そんな中、西沢を見つけるのもさほど苦労しないだろうと思われる。  でもまあ、念のため電話しとくか。間違いとかあったら恥ずかしい。 「何、たかしん?」 「今どこにいる?」 「駅前よ」  うーん、言い方が悪かったか。 「何か、特徴みたいなのわかるか?」 「特徴? うーん、そうね、今私ベンチに座ってるんだけど」  ベンチねぇ……、うん? まさか……。  俺は再び、ベンチに座ってるあの美人のほうを見た。
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