彼の、職業

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彼は笑った。梨花の部屋、何にも無いね、って。 それを聞いて思った。 …なんであたし、承諾しちゃったんだろう。 「よく言えば、殺風景。悪く言えば、生活感まるでなし?」 「あたり。あたし、この家にあんまり帰って来ないから」 …これからは特に、ね。 今まで、無かったものがある。今まで、居なかった奴がいる。今まで、無かった香りがある。 違和感だらけだ。 そんなあたしを知ってか知らずか、彼はやっぱり笑った。 「じゃあ、すぐに帰ってくるようになるよ」
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