彼の、職業

4/16
前へ
/580ページ
次へ
「…………」 ゾクゾクする。こんな感覚初めてだった。やっぱり耳元で彼は笑って離れて行く。 間違いないと思った。 余韻を残す男だ、と。 「ねぇ、梨花。一ヶ月の間に、堕としてみせるよ。そんで、名前、吐かせてみせる」 「え…」 「バレないとでも思った?残念。あんまり年下年下って馬鹿にすんなよ」 そう言って意地悪く笑う笑顔に、くらくらした。どうしてバレたとか、じゃあなんで『梨花』を褒めたとか、そんなことはどうでもよかった。
/580ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21807人が本棚に入れています
本棚に追加