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更に走ること20分。国道を山に向けて走り、沢村商店という小さな商店を通り過ぎ、直ぐに四つのお墓のある脇道。
そこが子捨て谷への入口になるらしい。
俺はほとんど車の走らない真っ暗な国道を、脇道を見落とさないよう、ゆっくりと走った。
更に走ること五分、段々と家がなくなってきた。その時、何やら看板のかかっている、ボロ屋を発見。
近くに原付を止め、看板を確認すると、沢村商店と錆びた看板に書いてあった。
やっているかどうか分からないような、ボロ屋だった。窓ガラスは黄ばんでいたが割れてはいなかった。
ふと、横を見ると一昔前の自動販売機が二つ並んでいた。
何だか不気味な商店だ。日中だと何も感じないのだろうが、やはり夜はモノを不気味に感じさせる気がする……。
俺は早々とソコを立ち去り、直ぐ近くにあると言われる四つの墓を探すことにした。
走ること数十秒。四つの墓は直ぐに見つかった。
そして、子捨て谷の入口である脇道も呆気なく見つかった。
只、その脇道に灯りはひとつも無く、土の道が数メートル先までしか見えなかった。
風ひとつない暗闇の中、原付のエンジン音だけが響いていた。
俺は唾を飲み込み、入口の前で暗闇を見ていた。
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