子捨て谷で赤子は泣く

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何だか鳥肌がたってきた。多分怖いんだと思う。 だけど俺は大丈夫!いつも行ってるだろ!今日は栄太はいないけど、S山トンネルは一人で行ったじゃないか! そう自分に言い聞かすと、原付動かし、ゆっくり獣道を走り出した。 夏とはいえ、今は夜。しかも山の中。暑くはないのに、汗が止まらない。 まるで初めて心霊スポットに行ったような感じ。そう、あの廃虚に入る前の重苦しい雰囲気。最近は段々慣れてきて、恐怖も薄れてきたと思っていたが……やっぱここはヤバいのか? と……その時だった、目の前に木が倒れており、行く手を遮っていた。 こんな大木一人じゃ退かせないな……原付じゃ無理か。 俺は原付を降り、その場に止めると、ヘルメットを外し、ハンドルに引っ掛けた。そしてリュックから懐中電灯を取り出し、原付のエンジンを止めると、ポケットにキーをいれた。 懐中電灯で辺りを照らす。やはり原付のライトと比べると、明かりが小さい……。 俺は倒木を越え、更に奥へと進んだ。 歩くこと、10分。別れ道に差し掛かった。どちらに行こうか考えていると、別れ道の真ん中に看板が立っていることに気が付いた。 俺は看板に近寄ると、懐中電灯で照らし文字を読んだ。 右800m庄灰滝 左500m……… 左側の字が掠れており、読むことができなかった。
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