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俺は暫く考えた。
右側は庄灰谷の悲劇と同じ、庄灰という地名が入っている。しかも滝というからには谷も近くにあると考えられる。しかし距離は左側に比べるとある。
逆に左側は距離は短く、もし間違っていても直ぐに戻ることはできる。しかし、文字が掠れていて分からないため、見当違いの場所に出るかもしれない……。
それにしても、左側は何だかヤバい気がする。行きたくない……。
でもそういう場所こそ怪しいんだが……なんというか、足が言うことを聞かない。
とりあえず間違えてもいいから右側、庄灰滝の方へ行ってみよう。
もし左側が正解だとしても行くべきではない。この時は本当にそう思えて仕方がなかった。次に栄太と来たときに行けばいいとまで考えてしまった程だった。
俺は唾を飲み込むと、庄灰滝へ向かい歩き始めた。
墓からここまで来るのに、恐怖はあった。重苦しい空気もあった。だけどあの別れ道からは更に寒気までが俺に襲いかかってくる。
鳥肌がおさまらねぇ……。
「はぁ、はぁ」
少し歩いただけなのに呼吸が乱れる。
クソッ、何だか酸素が薄い気がしてならねぇ……。
こっちが当たりだったか。と、何故か少し後悔しながらゆっくりと前へ前へ進んで行った。
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