子捨て谷で赤子は泣く

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「わからない……。彩どころか、他のこともわからない。やっぱり赤子のことが頭から離れないんだよ」 「そうか……」 栄太は一言呟くと、そこから沈黙してしまった。 きっとさっきまで赤子の霊のことを忘れさせるために、話題を反らしていたんだと思う。だけど、無理だった。 あれはとてつもなく強烈で、忘れることなんて出来なかった。 全く喋らなくなった二人。ふと、テレビに目をやるとテレビショッピングは終わっており、テレビ放送は終了していた。 もうこんな時間? と思い、自分の携帯電話を取り出し時間を見ると既に3時半。時間も時間だし、悪いと思った俺は栄太に言った。 「わりぃ、もうこんな時間だな。いつでも寝ていいからな」 「えっ?お前泊まるの?」 驚いた様子の栄太は直ぐに聞き返してきた。 「えっ?泊まるつもりだけど……駄目?」 「まぁ……いいか。とりあえず、明日10時からバイトだから俺はもう寝るぞ」 「ああ、静かにしてるからゆっくり寝なよ」 俺がそう言ったのを聞くと、栄太はリモコンでテレビの電源を切り、部屋の電気を消した。そして、大きな欠伸をしながら、布団に入って行った。
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