4061人が本棚に入れています
本棚に追加
「わからない……。彩どころか、他のこともわからない。やっぱり赤子のことが頭から離れないんだよ」
「そうか……」
栄太は一言呟くと、そこから沈黙してしまった。
きっとさっきまで赤子の霊のことを忘れさせるために、話題を反らしていたんだと思う。だけど、無理だった。
あれはとてつもなく強烈で、忘れることなんて出来なかった。
全く喋らなくなった二人。ふと、テレビに目をやるとテレビショッピングは終わっており、テレビ放送は終了していた。
もうこんな時間?
と思い、自分の携帯電話を取り出し時間を見ると既に3時半。時間も時間だし、悪いと思った俺は栄太に言った。
「わりぃ、もうこんな時間だな。いつでも寝ていいからな」
「えっ?お前泊まるの?」
驚いた様子の栄太は直ぐに聞き返してきた。
「えっ?泊まるつもりだけど……駄目?」
「まぁ……いいか。とりあえず、明日10時からバイトだから俺はもう寝るぞ」
「ああ、静かにしてるからゆっくり寝なよ」
俺がそう言ったのを聞くと、栄太はリモコンでテレビの電源を切り、部屋の電気を消した。そして、大きな欠伸をしながら、布団に入って行った。
最初のコメントを投稿しよう!