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確かに聴こえた赤子の泣き声。段々と大きくなり、部屋中に響きわたるような大声になった。
いる……近くにいる。
確認しなくてはいけない。だけど目が開けられない、怖い、どうしよう……俺はどうすればいいんだ!?
そうだ、栄太!!
「栄太助けてくれ!起きてくれ!」
全力で叫んだつもりだった。だけど声が出ない。いや、それどころか口すら開かない。
声がでないならと、立ち上がろうとしたが身体が全く動かない。
もしかして金縛りってやつか?
依然聴こえる赤子の泣き声。
冷や汗が止まんねぇ……。
助けて、助けて、助けて、助けて、助けて、助けて。
恐怖のあまり全力で助けを求めた。栄太に聞こえるかなんて分からない、誰でもいい、何でもいいから助けて欲しかった。
しかし、声にならない叫びは誰にも届くはずがなかった。
あれだけ助けを求めたのに依然聴こえる赤子の泣き声。
どうしたらいい?どうしたらいいんだよ?俺が悪かったよ。あんなところに遊び半分で行って、本当にすまないと思っているから。だからやめてくれないか!もう泣き止んでくれないか!
俺は心の中で自分の行為を激しく悔い、そして赤子に謝った。
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