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だが泣き止むことはなく、泣き声が響いていた。
「うぁっ、あぁぁ、うぅ、あぁっ」
俺の意志で出したわけじゃない変な声が発せられた。何も考えられない。
真っ黒な空間。
冷たい身体。
そして、泣き止むことのない赤子の泣き声。
「晋也!?晋也!?」
誰……?
「誰だ!?」
今まで金縛りで動かなかった身体を起こし。今まで恐怖で開けられなかった眼を開けると、周囲を見渡した。
太陽が既に昇り明るくなった栄太の部屋。そして、俺の横には心配そうに俺の名前を呼びかけている栄太がいた。
起き上がった俺を見て栄太は口を開いた。
「大丈夫か?凄くうなされてたぞ」
「いや……やばいかも。さっきまで赤ちゃんの泣き声がずっと聴こえてて、金縛りになってて……俺やっぱ呪われてんのかな?」
俺の問い掛けに暫く何かを考え始めた栄太。数秒の沈黙。そして栄太は答えた。
「わからない」
たった一言。だけどこれしか答えられないのだと思う。普通、分かんねぇよな。
「ただ、除霊してもらった方がいいのかもな」
付け足すように栄太は言った。まさか栄太からこんなセリフが出るとは思ってもいなかった。
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