泣き声は夜と共にやって来る

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現実に帰った俺だったが、もしかしたらまだ聴こえるのではないか不安になり、耳を研ぎ澄ました。 静まりきっている俺の部屋。外からセミの鳴き声が聴こえてくるだけだった。 安心したと同時に身体中にまとわりついている汗が気持ち悪いことに気が付いた。その時ふと、目に入った時計。時刻は11時40分。まだ一時半程しか寝ていない。 眠気はある。普通だったら二度寝をしているところだが、今は眠りたくなかった。眠ることでまた怖い夢を見るのではないかという不安があったからだ。 眠たい眼を擦ったが、眠気は覚めない。少しでも眠気を取るため俺はシャワーすることに決めた。 衣類をタンスから取り出し、風呂場に向かった。 そして脱衣場に着き、服を全て脱ぎ浴室に入ると、少し温いお湯を頭から被り、汗を流した。 シャワーから出るお湯が、タイルに当たる音を聞いていると無心になれるのだ。 恐怖すら忘れるくらいに……。 そのため俺は暫くの間、シャワーのお湯を被り続けた。 その時だった。突然聞こえた扉が強く閉まるような音。 身体を一瞬ビクつかせ、後ろを振り返った。 勿論何もいなかった。 風……だよな? その時、俺がの鍵が開きっぱなしだったのを思い出した。
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