泣き声は夜と共にやって来る

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その時、居間への扉が開いた。 言葉を失い、只立ち尽くす俺。咄嗟に眼を閉じてしまった。 「あんた、何してんの?」 …………母ちゃん? 聞き覚えのある声に恥ずかしさを感じ、一気に眼を開いた。 するとそこには冷やかな目で俺のことを見る母親が立っていた。 引けていた腰を真っ直ぐに伸ばすと、何事もなかったかのように、いつも通りの態度で居間に入った。 そんな俺を母親はニヤニヤ笑いながら見ていた。 居間に入りソファに座ると、点いていたテレビに視線を向けた。 入っているのは再放送のドラマ。 きっと、赤子の泣き声はテレビから流れたものだろう。 とりあえず、居間に来てみたものの特に用事があるわけではなかった。直ぐに部屋へ行きたかったが、何だか母親に変に思われそうだったので、暫くソファに座っていることにした。 暫く母親と他愛もない会話をしていると時間は既に昼飯時。 母親と二人で素麺を食べた。食べ終わる頃には丁度良い時間になっていたので、食器を片付けると自分の部屋に向かった。 部屋に入り、ベッドの上に横になると再び睡魔に襲われた。
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