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少し笑いながら俺は言った。だって今まさに太陽は沈んでしまったから。
栄太のヤバいとは違うヤバさを俺は感じた。
夜がやって来たのだ。恐怖の夜が。
「太陽沈んじまった……」
俺は呟く。
「もしかして聴えるのか?」
栄太は心配そうに言った。
「まだ大丈夫だ。今は電話してるからな……」
「とりあえず今からお前の家に行くよ。話したいこともあるし」
「電話……切るのか?」
「暫く我慢してくれないか?さすがにバイクの運転中は電話できねぇ……」
申し訳なさそうに栄太は言った。
「わかった……暫く待つよ。なるべく早くな……」
「ああ!」
栄太は返事すると電話の電源を切った。
ツーツー
受話器から聴こえてきた音。しかし一瞬にしてその音は変化した。
「オギャア、オギャア」
突然の変化に驚き、携帯電話を耳から直ぐに離し、床に投げつけた。
マジかよ、こんな直ぐにかよ。あり得ねぇよ……。
冷や汗が全身から噴き出してくる。
駄目だ一人じゃ無理だ。その時聞こえてきた母親の声。
「あんた!うるさいわよ」
その瞬間、俺は部屋を出て階段を降り、母親のいるだろう居間を目指し走っていた。
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