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「子捨て谷について」
栄太はパソコンの画面に視線を向けたまま答えた。
「それなら俺、行く前に調べたぞ」
俺は少し自慢気に言ったが、栄太はサラリと聞き流した様だった。なんとなく悔しくなった俺は独り言のように以前調べた、子捨て谷についての情報を言った。
暫く俺が独り言を言っていると、うるさくなってきたのか、栄太が口を開いた。
「あのさ晋也、お前の言ってる事は俺も知ってる事だ。その位のことは少し調べれば直ぐ出てくること。俺が知りたいのはそんなことじゃないんだ」
「じゃあ、何が知りたいんだ?」
俺は栄太に問い掛けた。
ってか、聞き流しているかと思っていたんだが……。栄太がちゃんと聞いていてくれていた事に、俺は少し驚いた。
「子捨て谷で心霊体験したという人の中に、お前と同じ様な体験をした人がいるのか」
栄太はポツリポツリとパソコンを操作しながら答える。
「なるほど!もし同じ体験をした人がいた場合、治し方も知ってるかもしれないということか」
「正解。あと、それともう一つ調べたいことがあるんだ」
「もう一つ?」
「ああ、子捨て谷で過去にあった、子捨てについてな……」
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