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「こんなにあんのかよ……」
一通り読んだ俺はポツリと言った。
しかし、栄太は更に恐ろしい事実を口にした。
「まだあるぜ、きっと……」
「マジかよ」
「ああ、だってここに書かれてるのは戦後の事件だけで、戦前の事件がかかれていない。だからきっともっと沢山の子どもが捨てられている……。それに、谷底から見つからなかった赤ちゃんだっているかもしれないし……」
俺はなんてところに行ったんだ……こんなに酷い場所だったなんて……。
栄太と居ることで忘れかけていた恐怖。しかしそれが再び現れる。ゾクゾクと身体中が悪寒を感じ。震え始めた。
知らなかった方が幸せだったかもしれない……。
だって聴こえてくるんだよ。
赤子の泣き声が……。
「どうした?晋也?大丈夫か?」
明らかに様子のおかしい俺を見て栄太が心配そうに声を掛けてくれる。しかし、反応できない。
そして次第に栄太の声は聞こえなくなり、今俺の聴こえる音は赤子の泣き声だけとなった。
「オギャア、オギャア、オギャア、オギャア、オギャア、オギャア、オギャア、オギャア、オギャア、オギャア、オギャア、オギャア、オギャア、オギャア、オギャア、オギャア、オギャア、オギャア、オギャア、オギャア、オギャア」
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