泣き声は夜と共にやって来る

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泣き声が幾重にも重なり、響きわたる。まるで何十人という赤子に囲まれているかの様だ。 俺は耳に手をあて、聴こえないように遮っても脳まで響きわたる。全くの無意味。 気が狂いそうだ。 知らない間に発狂している俺。大声を出し、のたうちまわっている感じがする。 声をだしている感じはする。喉が揺れている。だけど俺の声が全く聴こえない。聴こえるのは赤子の泣き声のみ。 突然頭部に激痛が走る。 その激痛に我に返った俺は、頭の痛みを和らげるように、擦りながら床に付いていた身体を起こし、周囲を見渡した。 ここは……俺の部屋。 目の前の栄太は、心配そうに俺に声を掛けながら見つめている。 「なぁ栄太…頭大丈夫か?」 激痛のため心配になった俺は栄太に訊いた。 栄太は俺の頭を見て、少し触り膨らんでいるのを確認すると、タンコブだろうと診断してくれた。 「それより大丈夫か?急にのたうち回って、泣くな!泣き止んでくれ!って叫んでたんだぞ。一体どうしちまったんだ?」 俺は栄太に今あった事を全て話した。 「お前、俺と居るときにならないって言ってたのにな……段々悪化してるのかもしれない。早く寺に行った方がいいかもな」
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