泣き声は夜と共にやって来る

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「ああ、そうだな……。それにしても頭痛いんだけどさ、俺どっかでぶつけた?」 「ああ……のたうち回ってるときに机の足に頭ぶつけてたぞ」 そうか、どおりで痛いわけだ。だけど、あの痛みがなかったら俺はどうなっていたのだろう。あのまま赤子の声に囲まれ、気が狂ってしまっていたかもしれない……。 「なぁ栄太。また俺がああなったとき、全力で痛い目にあわせてくれな。そうしないと多分俺、戻れないから」 「あ……ああ」 なんとなく、返事しずらそうに栄太は言った。 「さ、もう寝て明日朝早くここを出て寺に行こう」 栄太は話を変えるかのように喋り、寝る様に言ってきた。 どうやら栄太はここに泊まるらしい。まぁどうやって引き止めようか、考えてた為都合が良かった。 「なぁ栄太。先寝てていいぞ。俺多分寝れないから……」 俺はそう言うと無言で布団を敷き始めた。そして栄太を布団に誘導し俺は一言。 「悪いけど、電気は点ていてくれないか?」 それだけ言うと、耳にヘッドホンをあて、爆音で音楽を鳴らした。 栄太はそんな俺を黙って見続けた。 そして、長く辛い夜は静かに明けたのだった。
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