思いは残り霊となる

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そして、俺たちは厳玄寺を目指し歩き出した。 道案内は栄太。先頭に立ち、地図を見ながら俺を誘導してくれている。 眠たく、身体がダルいため、栄太の歩くスピードに付いて行くのが正直辛かった。 そして緩やかな坂道を上ること30分。目の前には古くから在るであろう、少し朽ち果てた大きな寺が現れた。 その入口にある看板を見ながら栄太は言った。 「ここが厳玄寺か……」 少し朽ちていた看板の文字は掠れており、読みづらかったが、確かにそこには厳玄寺と書かれていた。 俺たちには行き慣れない場所だったので、少し入りづらかったが、ゆっくりと門を潜った。 潜って直ぐにあった石の階段を上ると、目の前には寺の本堂。 そして、本堂の前に一人のおじいさんが竹ぼうきで石畳を掃いていた。すると、俺たちの存在に気付いたおじいさんは、手を止め、笑顔で声を掛けてきた。 「こんにちは。お参りですか?」 すかさず俺は答えた。 「いえ……あの……ここは……あの……」 いや……答えれなかった。突然訊かれたものだから、少し混乱していた。まぁ睡眠不足というのもあり、ボーッとしていたのもあるんだが……。
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