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そんな俺を見兼ねて、栄太がすかさず答えてくれた。
「このお寺が除霊をしてくれると聞いて……。彼がどうも呪われているみたいなんです」
そう言いながら俺を指差す栄太。
「そうですか。呪われたのですか。それは大変ですね。確かに何か、辛そうな顔をしておられる」
おじいさんは表情を変えないまま、口を開いた。
「わかりますか!夜になると赤ちゃんの泣き声が聞こえるんです!!」
俺は言った。
「そうですか。では、お話を伺いましょうか。御堂の方へお上がり下さい」
そうおじいさんは言うと、竹ぼうきを壁に立て掛け、俺たちを本堂へと案内してくれた。
そして座布団を敷き、俺たちに座るよう言ってくれた。
「それでは、お話しを伺いましょうか」
その一言を聞いた瞬間、今まで溜まっていたものを吐き出すかの様に、一気に言いきった。
支離滅裂だったかもしれないけど、おじいさんはひとつひとつ頷き、丁寧に聞いてくれていた。
そして全てを聞いた後、暫くおじいさんは目をつむり黙っていた。
今から何かが始まるのではないか、霊の正体が明らかになるのではないか、そういった期待が俺の中にあった。いや、このおじいさんにはそう思わせる雰囲気があったのだ。
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