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更に俺は喋り続けた。
「おじいさん。この憑いてきた霊や思いをどうすれば成仏できるんですか?やっぱりお経とか唱えるんですか?」
さっき俺に話を途切れさせられたにも関わらず、笑顔のまま答えてくれた。
「いえいえ、私に除霊などできません」
まさかの発言に驚く俺と栄太。インターネットに書かれていたのは嘘だったのか?
「私に出来るのは話を聞き、少しの助言をすることだけです」
「助言……?」
俺は聞き返す。
「まぁ大層なものではありませんが、少しさせて頂きたいと思います」
唾を飲み、耳を傾ける俺と栄太。
一旦途切れていた会話が、おじいさんの言葉から再び始まった。
「もう一度、その場所に赴き、お線香を焚き、ちゃんと供養してきて下さい」
「それだけでいいんですか?」
栄太が聞き返した。
「はい。心を込めてやれば大丈夫ですよ」
それを聞いて笑顔になった栄太は「よかったな」と言いながら俺の背中を軽く叩いた。
「………………」
言葉を発せず、下を向き黙っている俺。折角の良い話しなのに、乗り気がしない。
様子がおかしいのに気が付いた栄太は俺に「大丈夫か?」と訊いてきた。
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