思いは残り霊となる

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「行かなければ、ずっとこのままかもしれません。怖いかもしれない、辛いかもしれない、苦しいかもしれない。ですが、それでも供養さえすれば、きっと貴方の苦しみは終わりますよ」 仏の様な顔でおじいさんは微笑んでいる。後光さえみえそうな、そんな雰囲気があった。 「終わる……」 俺は呟いた。 確かに行けば今よりももっと辛いし、怖いし、苦しい。だけどそれを乗り越えなければ、終らない恐怖に縛られ続けられるかもしれない。 「なぁ、栄太……」 「ん?」 「一緒に行ってくれるか?」 栄太はニコッと笑い即答した。 「ああ、もちろん」 「そうとなれば、今から行くぞ!善は急げだ」 俺は立ち上がり、栄太に言った。 「今から?子捨て谷に着く頃には夕方だぞ」 栄太はかなり驚いている。そりゃそうだ、今から行けば夜になるかもしれないし、何よりさっきまで弱気な事を言っていた人間の発言とは思えないのだろう。 だけど、少し頑張れば恐怖は終わる。そう考えたら何だか頑張れる気がしたのだ。 それに、これ以上栄太に迷惑を掛けるのが申し訳なかった。
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