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それから俺らは中に入ると、探検を始めた。
全員内心はビビっているのだが、何だか無理に強がっていた。かく言う俺もそうだった。こいつ等には負けたくない、そんな変なプライドがあった。
まぁ、へっぴり腰だったんだがな……。
一時間位探索し、心霊現象もなく、何だか飽きてきた俺達。次第に恐怖も薄れていた。
「さぁ、何か飽きてきたし帰ろうぜ」
誰かがそう行った瞬間だった。
「なぁ……今何か聞こえなかったか?」
俺の隣にいた、友達の一人がふと問いかけてきた。
しかし、誰も聞こえていない様子。結局その場ではそいつの空耳だということになったが、この話を聞いた後皆の口調が早口になり、歩く速度が早くなった。
俺も空耳だと思っていたが、心のどこかで心霊現象の類いではないかと、ドキドキしていた。
そんな折り、先頭を歩いていた三人が、同時に声を上げ立ち止まった。
「ちょ……マジ!」
そして、後退りを始めた。
何だ!?
全員が割れた窓の外をみている。俺も視線を向けたが、在るのは生い茂る木のみ。
そして全員が一斉に後ろを向き、走り始めた。
何がなんだか分からなかった。しかし、その分からないという恐怖が俺に逃げろと命令したのだった。
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