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俺は訳も分からず皆についていく。そして、あっという間に外に出ると、止めてあった自転車に乗り込み、その場を走り去った。
そして、二十分ほど無言で走り続けた俺達は誰かが言うまでもなく、近くのコンビニに自転車を止めた。
息を調える俺達。静かなコンビニの駐車場に俺たちの荒い呼吸だけが響く。
ある程度休み、呼吸が大分調った俺はさっき先頭を歩いていた三人の内一人に訊いてみた。
「何があったんだ?」
「ハァハァ、お前、見えなかったのか?」
「何が見えたんだ?」
「人の……顔」
真っ青な顔でボソッと言うと、そいつは下を向き黙り込んだ。
他の奴にも訊いたが、人の顔を見たと全員が言った。
只、俺ともう一人、栄太だけは見えていなかった。
そしてその日は無言で全員解散した。
次の日、俺と栄太は昨日の俺達以外の皆が見たと言う人の顔について考えてみた。
皆の話を詳しく訊いたが、皆その顔が、男か女か、年寄りか若いかも分からないと言ったのだ。
そしてある人は顔らしきモノを見たと言った。
つまり、皆は明確に顔を見たわけではない、もしかすると何かが、顔らしく見えただけではないか?
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