第一章

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   「ま。出来なくは無いけど、お高いですよ。………依頼は誰?それとも何処?と聞いた方が良いかな。」  煉は涼に席を替わるように指示をし、モニターの康毅と向かい合った。  「俺に依頼するんだ。……………隠しても無駄だし、隠したら依頼は受けない。」  『ああ。その顔の方がお似合いですね。…………依頼元は今話題のソレイユ王国。依頼主は仮の代表である執事さんですよ。』  「………………………………………は?」  煉はたっぷりと時間を掛けて返事をした。それと同時に一気に緊張が解ける。  「いやいや。ソレイユ王国からの依頼は良いとしよう。何故ゆえ執事さん?革命軍の偉いさんとかじゃないの?」  …………革命軍のリーダーは誰かは知ってるが、その本人はトップに立つ気は更々無いであろう。  張本人の興味があるのはたった一人だけだからだ。  『それがですね。リーダーは既に国内には居ないそうなんですよ。そのリーダーと言う人はソレイユ王国の人間じゃないらしいです。で、革命軍の二番手と言うのが、元王国の執事さんで、この執事さんも『王国の正統継承者に王座を渡す為に革命を起こした。』らしいです。その正統継承者と言うのが、先々代の長子。つまりは、前の馬鹿王の兄に当たる人らしいです。そこで困った事実が。長子は、今から20年以上前に馬鹿王に暗殺された噂がありまして、事実現在に至るまで、所在が掴めて居ないんです。これで理解してくれました?』  モニターの中の康毅がニッコリと笑って話しを終えた。それを見て煉は何事か考え『ちょっと時間をくれ。』と言うと、そこで通信を切る。  「…………なんじゃい。お前なら朝飯前の仕事じゃろ?」  狸は何処か様子のおかしい煉と涼の顔を見比べた。おかしいと言うよりは、なんだか焦っているようだ。  「どうしたんじゃ。ワシに分かる様に説明せい。」  狸が促すと、やっと煉が口を開いた。  「革命軍のリーダーなんですが、ウチの三番目の孫なんです。」  この言葉には流石の狸も、ギャフンと言わざる得なかった。
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