第二章

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   「あんたの上にも、もっと爺い共が居るでしょ。しんみりしないでくださいよ。………それよりも、ウチの可愛い孫、罪にはならんでしょうね?」  幾ら自分の神の為とは言え、国一つの運命をねじ曲げた。天の理(ことわり)に反している可能性は否めない。煉にとって、国一つどうなろうが知った事では無いが、孫の事は別問題だ。  「お主も大概酷いの。まあ、あ奴等は爺いなのは本当じゃからな。……罪にはならんよ。寧ろ良くやった。帰ってきたら頭、撫でてやろうかのー。さてさて。大体の経緯はわかった。実際お主の見立てはどうなんじゃ?夏神は生きておるのか?死んでおるのか?」  煉は空を見上げて何かを探る仕草を見せ、直ぐに狸に向き合った。  「生きてるでしょうね。じゃなければ、英が動かない。」  それにね。と煉は笑顔で付け足した。  「四季神の一人が亡くなったのであれば長老達が動かない訳ないでしょ?」  その言葉に狸は笑う。  「長老とは言うたものじゃな!確かにの。幾ら面識が無いとは言え、ワシも何も感じなかった。煉。」  「依頼、引き受けましょうや。そういえばさ、涼は見たことあるんでしょ?夏神。」  二人の会話に入っていけず、今まで黙っていた涼が、困った顔をする。  「…………まさか………。見たことないとか?」  「そのまさかです。夏神は、春神よりも大変な方でしたから。」  苦笑する涼の顔を見て、煉と狸は驚いた。春神と言えば薬嗣だが、その特異体質のせいで、天界でも人間界でも、老若男女問わずモテモテなので、特に春になると引きこもる。秘書で一応恋人の宗とかの護り石のおかげで、今は普通に生活を送っている。(それでも、年々パワーアップしているが)そんな春神よりも厄介な相手とは……。  「ああ。誤解しないでください。春神みたいに特異体質ではなく、性格なんです。…………物凄い恥ずかしがり屋で、前任の夏神と、英以外の相手にまともに見たこと無いんじゃないかな?任命式の時にも、式典の広間を隙間から覗いて、人の多さにぶっ倒れ、結局、三帝だけが立ち会って、小部屋こっそり任命したぐらいですから。その時だって英の後ろに隠れていたらしいですよ。」  「「そんな奴、任命するなっっ!!」」  涼の説明に思わず突っ込みを入れてしまう、狸と煉だった。
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