第二章

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 煉が立ち上がり、予定等が書いあるボードに何やら書き込み始めた。     ・春神 フェロモン  ・夏神 引きこもり  ・秋神 食欲魔王  ・冬神 天然タラシ      (御狸様義弟)      「こーやって書き込んでみると、四季神ってまともな奴居ないっスねえ。」  「馬鹿じゃな。四皇神や三帝もそうじゃろ。ま、紙一重じゃないと勤まらないと言う事じゃ。」  「何気に自分を省きましたね?………さてさて、どうしたものか。」  幾ら煉とは言え、捜す相手の手掛かりが何も無いと言うのは痛い。どんな術にしろ、相手の存在を掴めて初めて力を発揮できる。たとえ死んだとしても、彼の地に魂があるのであれば、その気配をたどり、追うことは可能だ。しかしそれも手掛かりがあってこそ。今の夏神のように、存在そのものが不明で、媒介となりそうな物も無い相手を追うのはかなりの手間と時間が掛かる事は間違い無い。先程の警視総監の話しと、ソレイユ王国の現状を考え、オマケに孫の事を考えると時間はかけられまい。  「…………んー……。英から情報引き出して追う……。これが一番良いかな?」  なんと無く狸を目で追う。狸が勝手にお茶を淹れようとしている所だった。  ………相変わらず勝手に探し当ててるなー……。  そんな時、煉の頭に妙案が浮かんだ。  「涼も飲むか?茶菓子は……お。多分この箱じゃな。」  狸が棚の中から箱を取り出そうとしたら、むんずと捕まれた。  「お?なんじゃ。煉も飲みたいのか?」  「…………居た。」  「どこかケガでもしたんか?」  「してません。手掛かりが居ましたよ!あんただ!」  「ワシ?じゃからワシがこちらに来ている間に夏神は着任したから知らんと………。」  狸が、断りを入れると煉は首を振った。  「あんたの能力忘れましたか?『隠されたものを捜し出す』………人でも物でも、記憶であれ何でも有効でしたよね。その能力、使わせてもらいます。」  煉の説明に狸は眉をひそめた。
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