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「…………教授。」
「ん?」
薬嗣も下に降りようと、出て行こうとしたが、行く手を阻まれる。
「なんだよ。危険だから此処にいろとか言うのか?」
負けてたまるかと言わんばかりの勢いである。が、その予想ははずれた。宗は、真剣な顔で薬嗣の肩を掴んだ。
「私の弟って………どういう意味なんでしょうか………?!」
一瞬、口の端が歪む薬嗣。………こいつ……自覚無えのかっ?!
「あ―………お前も俺の事となると手段選ばない所あるだろ。その事じゃねえの?」
雷鳴を受けたようなショックを受ける宗。今まで無自覚にやっていたのだと思い知らされる。だとすると、恐ろしい一族だ。
「うん……まあ……これからは気を付けような?」
「………はい。」
うなだれる宗を引っ張り薬嗣は慌てて、事務所まで走った。一応エレベーターがあるが、走った方が早い。事務所の前にたどり着いたら、何故が八朔と見知らぬ青年が対峙している。
「てめえが爆破したんならてめえが責任取れよ!」
「おや。立て付けが悪い扉を少し捻ったら壊れただけですよ。この程度で壊れる扉が悪い。」
「ああっっ?舐めた口聞いてんじゃねえぞ?優男。金払えねえなら、せめて謝れよ。」
「心外ですね。この建物の持ち主は貴方ですか?」
「俺は此処の事務長だっ!」
「おや。失礼。あまりにも可愛らしい顔なので、女性かと思いましたが……これだけ粗野な口を利く女性もいませんか。」
「その言葉。そっくりそのまま返すぜ?美人なにーちゃん。」
可憐VS美人の壮絶な口喧嘩に、流石の薬嗣も部屋に入りたくなくなった。
「………すげえ……。あのみかんに負けてないぞ。あの青年。」
「ついさっきまで、月草事務長を説教していた御人の台詞ではありませんよ。………いい加減止めなさい。英。」
「おや。兄上。…………薬嗣様!」
英は薬嗣を見つけ、駆け付けると、おもいっきり抱きついた。
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