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「な、な、な、な、な、何すんだよっっ!!」
いきなりキスされて驚く八朔。した方は何故驚かれたか解っていないようだ。
「?単なる御挨拶ですが。」
「此処は日本だっっ!!挨拶なら頭下げるだけで良いっっっ!!」
「そうですか。解りました。」
「みかーん。この一族にこの程度で驚いてたら、これからやってけないぜ?」
薬嗣は近くにあった椅子に腰を掛けて、狸を煉から引き取る。
「余裕じゃねえかっ!畜生。あの食欲魔王だけでも大変なのに、これからまだ増えるのかよ。」
「ワシが紳士に育てたからのー。で、英坊。何で日本に帰ってきたんじゃ?お前さんの主、見つかっとらんのじゃろ?」
狸の言葉に英は頷く。だが、その後、狸をじーっと見つめ出した。
「………なんじゃ?」
「老師。今日は誰かとお会いしましたか?この場所にいる御方達以外で。」
狸は髭をちょいちょいと触り考えた。
「これ以外では民俗学部の生徒と、秋神・冬神、後は残りのお前さんの兄じゃな。」
「天狗様、1人忘れてますぜ?東屋の妖精さん。」
煉が愉快そうに付け足した。
「妖精?狸の方が妖精っぽいじゃん。」
「妖精じゃなくて妖怪だろ?」
「師匠は天使です。」
「堕の付く天使な。」
「………話しがまとまらないので、少し黙っていてもらえません?……英。どうかしたのか?」
自由気儘に盛り上がるギャラリーは完全に無視して、英が考え込んでいた。
「…………年齢から言って生徒とは考えられない。だとすると……東屋か?」
「英?」
宗がもう一度話し掛けると、英がやっと我に返った。
「ああ宗兄上、済みませんでした。………多分聞き及んでいるとは思いますが、私の主が行方不明なんですよ。」
「ああ。聞いてる。その人探しの依頼、警察通して俺に来たから。………依頼主は革命軍のナンバー2からだって。」
「では、国内での心当たりが空振りだったんですね。お祖父様。実際、貴方から見て我が主の生死は………。」
「お前が此処に居る。それが答えだろ?」
煉がニッと笑うと、英も不敵な笑みを浮かべ、これまでの経緯を話し始めた。
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