第二章

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   「お祖父様に依頼が来たのであれば、ある程度の事情を知っていると言う事で話しをさせて頂きます。我が主が天界から此方の世界へ来て数年後、此方の世界では約二十年前、我が主の気配が途絶え、三帝の命は勿論、私の使命を持ちまして、主探しに此方へ来ました。それが一年前。それから今回は特例と言う事で、主の転生先を炎帝から聞き出した私は、父上に頼み、ソレイユ王国への留学と言う名目で、単身乗り込み主探しに奔走する事に致しました。が、留学する前にある程度の御国事情を調べたていた私は、簡単には事が運ばないと直感し、父上からあちらの政府に『千樹財団が欧州でのリゾート開発を行おうとしていて、その候補地にソレイユ王国の名前が挙がっている。その為、三男が視察を兼ねた留学を望んでいる』と、申し入れてもらいました。そうする事で、王国内は勿論、王宮に入ってもおかしく無い体裁を整え、私は王国に乗り込みました。」  「リゾートねえ。あの国、先々代が亡くなって、国庫が破綻しかけていた噂、本当だったんだ。」  煉はパソコンをカチャカチャと弄りながら複雑そうに言葉を挟む。  「本来なら四季神を受け入れる家族や土地は、それだけで恩恵を受ける。元々豊かな場所に受け入れてもらっているのじゃが、扱いを間違えると………ゆきの村が良い例じゃろ。あれは間違えた最たる例じゃ。」  神は豊穣をもたらすが、厄災ももたらす。善悪表裏一体なのが、神と言う存在だ。  「まあ……あの村は特殊っちゃあ特殊でしたけどね。天狗様、取り敢えず警察には依頼を引き受けるとメール送っておきましたよ。」  「うむ。さて、話しの続きじゃ、英坊。」  狸に促され、英は再び口を開いた。
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