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「使えねぇな。」
「使えませんね。」
八朔は今月の図書購入予定リストに目を通しながら、眉間にシワを寄せる。
八朔が図書館を去る事になり、館長代行を副館長である加納にやらせてみた所、これ又、元部下の萩から連絡があり、様子を見に来たと言う訳だ。
「なんだこれ。美術関連や、野郎の写真集ばっかりじゃねぇかっ。」
バシッとリストの束を叩く。
「あの人、綺麗なモノが好きで、自分の周りも美しいモノや可愛いモノで埋め尽くす!と豪語してましたからね。………まあ、ここ迄馬鹿とは思いませんでしたけど?」
「ちょっと!あんたどっちの味方なのよっっ!」
「こちらの仕事に関しては、月草館長の味方です。…………はっきり言います。ウチの神様に図書館館長職は無理ですよ、館長。」
「………元館長だ。うー………困ったな。取り敢えず繋ぎ予定だったのに、繋ぎですら使えないとは。」
八朔は頭を抱えた。理事長から、『後釜は月草館長が任命してください。私は月草館長の目を信用してますから。』と、言われたので、数名の候補を挙げ、その間は加納に代行をやらせてみる事にしたが、結果はこうだ。
「俺が次が見つかる迄居れればな。」
「無理ですよ。館長は春神の事務長、秋神の神官長なんですから。…………誰か居ませんか?」
萩に言われて、手帳を取出す。
「…………一人、近くに居るには居る。だが………。」
萩が手帳を覗き込むと、そこに書き込んであった名前に少し驚く。
「無理でしょ?」
「まあな。本人は目立つ事が嫌いだし。でもな。本好きと知識は俺と対を張る。」
萩はそれを聞くとニヤリと笑った。
「それは貴重ですね。そうですねー。差し当たっては、翠樹教授に相談したらどうですか?」
「だな。」
八朔は手帳を閉じると、取り敢えずリストを手直しをする事にした。
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