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「あ。見つけた!」
生徒会室からお重を下げ、教室に戻ろうとする桔梗と千幸の前に、クラスメートの女子が駆け寄ってきた。
「竹春君、千幸君。今週、図書係なの忘れてたでしょう?代わりに刀自(とうじ)君が、行ったよー。」
「忘れてたっっ!!ゴメン、このお重、俺の机に置いといてくれる?後でお礼するから!ほら、桔梗っ。」
「政(まつり)が行ったのなら別に……。」
「良く無いっっ!!ごめんね!お願いします!」
「良いよー。刀自君怒ると怖いもんね。行ってらっしゃーい。」
手を振るクラスメートに頭を下げて、慌てて図書室に向かう。
「お前な。図書室といえば何だ?」
階段を昇り、角を曲がる。その奥の一角全てが高等部の図書室だ。廊下を挟んで向かい側には図書室で働く者の、司書室兼事務室がある。
「図書室…………………………………………………………………………………あ。八朔か。」
「思い出すのが遅いっっ!!もし、このことが政の口から館長じゃなくて、事務長の耳に入ってみろ。」
「八朔と何か接点があったか?」
「無い。でも教授と接点がある。政の家、この街唯一の神社だぞ。」
「…………急ぐぞ。蓮華。」
無言で走る桔梗は速かった。司書室を開け、奥の室長室を開けると、一人の青年が携帯を構えて待っていた。
「遅いぜ?後、ちょっと遅かったら翠樹教授にチクッてた。」
「………それだけは止めてくれ。」
桔梗の言葉に青年は笑顔を向ける。
「お前の焦ってる顔見たし勘弁してやるか。」
と、言いながら送信ボタンを押す。
「……………政っ……!」
「はいはい五月蝿い。泉室長寝てるんだから静かにしなよ。第一。俺だって今日、買い物して帰んなきゃいけないのに、誰の所為で此処に居るのかな?竹春桔梗君?」
「同罪の蓮華に罰は無しか。」
「だって俺、蓮華大好きだし?お前は………オッサンだからな。」
「日本語おかしいぞ。お前。」
「お前程じゃないね。」
明るく笑う青年の名前は、刀自 政(とうじまつり)この街唯一の『月刀自(げっとうじ)神社』の宮司を勤める、桔梗と千幸の親友である。
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