第三章

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   「あ。ちょい待って。」  政が携帯の画面を見て、二人を外に促した。  「ここで騒ぐのも何だからさ、廊下出よう。お姫様起こしても悪いしね。」  「それもそうだな。桔梗。政とのガチンコは廊下でやれ。」  「……廊下に出てガチンコする相手は、俺じゃないけどね……。」  「何か言ったか?」  「何でもなーい。やっぱり年の所為か耳遠いんじゃない?桔梗。」  政は、グイグイと二人を廊下に押し出し、静かに扉を閉めた。  「そう言えばさ、さっき、大学で爆発あったの知ってる?」  携帯の画面を二人に見せる。その画面には、黒煙の立ち上がる、見知った民俗学棟の事務所の窓だった。  「何とも無かったみたいだけどね。随分賑やかなんだなー。翠樹教授の所。」  「何でお前の所にこんな写真が送られてきてる……。」  「それはな。薬嗣の所は二十四時間体制で、学園側が警護している。それを管理しているのが、理事長直属の学園警備部隊で、刀自はその有栖隊長と八雲副隊長と仲が良いんだよ。轟音が気になった刀自は、警備部隊に連絡して、画像を転送してもらった訳だ。これで理解してくれたかな?今週図書係の竹春桔梗君?」  薄ら寒い殺気を感じとり、桔梗が振り向くと、鬼が立っていた。否、鬼よりも恐ろしい形相の元図書館館長が立っていた。  「………いくら何でも到着が早くないか?」  「そこの図書室に居たんだよ。蛍ちゃんの体調が悪そうなので、誰か代わりの司書を寄越してくれってメール貰ってな。丁度手が空いていたの俺しか居なくて、あっちは丁度話しが終わった所でな。高等部に用事のあった理事長の車に乗っけて貰った訳だ。」  「因みに、俺、八朔さんともメアド交換済み。認識甘いよ?蓮華、桔梗。」  桔梗の考えを読み取る様に、政が頷く。  「政って凄いな。理事長のメアドとかも知ってる?」  「惚れるなよ蓮華。俺には将来を無理矢理誓わせて、手に入れようとしている人が居るからな。あるよ。理事長。後、奥さんの聖副理事長のも。」  「物騒この上無いよ?お前。あ、本当だ。」  「良いねー学生さんは賑やかで。さーて……俺達も賑やかになりそうたがら、場所移動しようか?どうして図書係が遅れてきたのか、その辺り、じっくりと聞こうじゃないか。なあ?竹春君。」  鬼の元図書館館長からの死刑宣告が下された。
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