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「ちょっと笑える光景だよなー。桔梗の正座。」
「そう?俺、見慣れた。ところで政。買い物は?」
「夕飯の買い出し予定だったけど、メールしたら知り合いのオッサンが、後で食材届けてくれるってさ。だから面白い光景を見学して帰る。ついでに写メ、ポチっとね。」
カシャッと音がして、桔梗の正座と、八朔の鬼の笑顔を写し、何処かへ転送した。
「………政。何処へ送った……。」
「よそ見するなよ?第一お前はな、食欲以外に興味は無いのか?学生なんだから、少しは他の事に興味を持て。先に言っておく。俺に興味を持っていると言う答えは無しだからな。」
「…………チッ……。」
横を向き、小さく舌打ちをする桔梗。その態度に、八朔は額にもう一本青筋を増やした。雷を落とそうとした瞬間、政が止めた。
「八朔さん。桔梗とイチャつくのは良いけど、そろそろ図書室戻らないと。後、多分、蛍さん起きたんじゃないかなー?」
「イチャついてねえっっ!!」
「痴話喧嘩にしか見えないよ。ほらほら、早く行かないと、大事な本が紛失しちゃうよー。」
「………仕方がない。刀自。蛍ちゃんには、今日は休めと伝えてくれ。後、近い内、薬嗣、遊びに行きたいってよ。」
「学祭終わってぐらいかな?八朔さんも来ると良いよ。蔵の中身、陰干ししようと漁ってたら、初代の書いた本が出てきた。」
「行くっっ!!と、本当に行かねえとマズいな。悪い刀自。今度、民俗学棟に来てくれ。」
「了解。」
八朔が出て行くと、政はニンマリと笑った。
「本を盗み出すような馬鹿はこの学園には居ないけどね。八朔さん怖いもん。桔梗ちゃーん。貸しね?」
「…………元々はお前が八朔に……。」
「チッチッチッ。図書係、忘れてたお前が悪い。ま、貸しは今度返しててもらうとして、蛍さんトコに行こうか。」
「………お前にはかなわん。」
不思議な事に、この刀自政は、学園内の天界関係者全員と仲が良い。『神』というものは、それなりに偏屈なのが揃っており、一筋縄ではいかない連中ばかりなのに、何故か政の周りは『神』で賑やかだ。まあ、職業柄、仕方がないと言えば仕方がないが。
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