第三章

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   「で、その政君、なんだって?」  「写メで桔梗君の土下座送ってきた。まーた、みかんに何かしたんだろうなー……後は……『教授。狸の妖精ってこの学校に居る?』だって。………狸の妖精……?」  薬嗣の知っている狸は1人(匹)しかいない。  「あれって、妖精?」  薬嗣は、真剣な顔で煉に問い掛けた。何故なら、煉は裏で陰陽師もやっているので、民俗学では知りえない事を知っているかもしれないからだ。  「…………あの御狸様が妖精……?妖怪の間違いじゃなくか。薬嗣。メール見せてみろ。」  「ほれ。」  煉が薬嗣から携帯を受けとる。  ……ついでに探っておくか。  他には気が付かれないように、意識を飛ばして、携帯に繋がる『政』と言う人物を探る。かなり、高等な技だが、煉にとっては朝飯前だ。  ………こいつは……。  「薬嗣。この政君。俺、会ってみたいなー。駄目?」  「ええ?何だよ突然。」  「いやー、だってさ。あの桔梗様の土下座写メ送ってくる強者って、会ってみたくならねえ?なあ、宗ちゃん?」  「はあ……。」  話しを振られて、余り興味を示さない宗。その様子を見て、煉は焚き付けた。  「あれ?興味ないの?ま、薬嗣が誰と仲良しでも関係無いかー。ま、学生さんなら色々忙しいだろうから、無理言わな「教授。私もその宮司様に会ってみたいです。」」  煉の言葉に重ねて、宗は言った。  「なんだよ?お前迄。」  呆れた顔で、薬嗣は宗を見た。  「いえ。教授もそろそろフィールドワークに出たいと思いまして。今は文化祭を控えておりますので、余り遠出は出来ませんが、この街中の神社なら大丈夫でしょう。教授さえ宜しければ、その宮司さんに予定をお聞きして、都合が合えばと思いまして。」  何時もの秘書スマイルに薬嗣は、嬉しそうに言葉を返した。  「マジで?やった!久々のフィールドワーク!じゃあ、早速、政君にメールするな。」  鼻歌交じりに携帯を打つ薬嗣。それを見る宗の顔は、笑顔たが、中身は嫉妬の炎が燃えたぎっていた。  ………すまん。宗。可愛い孫を堕しにする、お祖父ちゃんを許してくれ。  煉は二人を眺めながら、小さく頭を下げた。
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