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プツ。プープープー……。
「…………。」
唐突に電話を切られた煉は、暫し携帯を持ったまま、固まっていた。
「あれ?もう話し終わったのか?」
………あのガキ……。
「薬嗣っっ!この政って奴の家何処だっっ!!」
「な、なにっ?!政君がどうかしたのか?」
突然怒りだした煉に、薬嗣は慌てた。
「電話!しらないおじちゃんと、話ししちゃ駄目って言われてるのー。って、携帯切りやがったっっっ!!」
「………確かに知らないおじちゃんだな。落ち着け煉。」
薬嗣は苦笑いをしながら、手帳を取り出した。
「……聞きしに勝る、強者のようですね。その宮司様。」
桔梗や千幸どころか、煉を手玉に取るとは、強者というより、命知らずだ。
「んー。そんな失礼な子じゃないよ。両親亡くして、一人で神社背負ってるから、大人びてはいるけど、桔梗君や千幸君から比べたら、本当に学生らしい学生だと思うけどな。しかも、無茶苦茶礼儀正しい。…………寧ろ、煉が何か失礼な事したんじゃねえの?」
話しを振られて、少し眉間にシワを寄せる煉を、薬は見逃さなかった。
「……何かしたな?」
「少し、どんな奴かと思って、探りを入れただけだ。誤解するなよ。心を覗こうとかではなく、外見を捕らえようとしただけだからな。」
「………ふむ。それは凄いですね。」
英は、カップをテーブルに置くと立ち上がり、薬嗣の近くに寄る。
「教授。その宮司様。間違いなく普通の人間ですか?」
「だから、普通の学生だって。なんだよ。急に恐い顔して。」
宗は、眼鏡を外す。普段は光りの加減で若干蒼く見える瞳だが、今は完全に蒼くなり、少しだけ金色を帯びていた。
「お祖父様は、人の使う術の一つ陰陽道のエキスパートです。その上、神の力も使うので、術は複雑になり、上級の神ですら術を使われたと気が付かない事があります。そのお祖父様の術を携帯を通しただけ………それも……あの短時間で見破るなんで芸当は、普通の人間ではありえません。………是が非でも会ってみたいですね。その宮司様。」
「宗。」
薄らと笑みを滲ませる表情を見て、薬嗣は、フィールドワークが駄目になりそうな予感がした。
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